労動基準法
使用者の定義、賃金、休業手当からの出題。
使用者の定義については、条文の穴埋めなのでそれほど難しくなかった(?)ようですですが、賃
金、休業手当については、最高裁判例からの出題ということもあり、見たこともない受験生も多か
ったはず。前後の文脈と選択肢からCには「生活保障」が比較的入りやすかったと思います。
安衛法とあわせて4問は取っておきたい。
例年と違い、難易度は低かったのではないでしょうか。
内容的にはテキストレベルの出題が多い一方で、細かい通達及び最高裁判例からの出題もいく
つか見られましたが、過去に出題のあった通達や最高裁判例もあったので、比較的解答しやす
かったと思われます。最低でも4問は正解して欲しいですね。
【問5】 労働基準法に定める労働時間等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
A 労働安全衛生法に定めるいわゆる特殊健康診断が法定労働時間外に行われた場合には、
使用者は、当該健康診断の受診に要した時間ついて、労働基準法第37条第1項の規定によ
る割増賃金を支払わなければならない。
B 使用者から会議への参加を命じられた場合に、その会議が法定労働時間を超えて引き続き
行われたときは、使用者は、当該引き続き行われた時間について、労働基準法第37条第1項
の規定による割増賃金を支払わなければならない。
C 労働安全衛生法に定める安全委員会の会議が法定労働時間外に行われた場合には、使用
者は、当該会議への参加に要した時間ついて、労働基準法第37条第1項の規定による割増
賃金を支払わなければならない。
D 労働者を就業規則に定める休憩時間に来客当番として事務所に待機させられたが、その時
間に実際に来客がなかった場合には、休憩時間以外の労働時間が法定労働時間どおりであ
れば、使用者は、労働基準法第37条第1項の規定による割増賃金を支払う義務はない。
E 労働安全衛生法に定めるいわゆる一般健康診断が法定労働時間外に行われた場合には、
使用者は、当該健康診断の受診に要した時間ついて、労働基準法第37条第1項の規定によ
る割増賃金を支払わなければならない
【解答・解説】
A ○ (昭47.9.18 基発602号)
特殊健康診断の受診に要した時間は労働時間と解されるため、法定労働時間外に受診した
場合は,時間外労働に係る割増賃金を支払わなければならない。
「しゃろび厳選通達集」にて的中!
B ○ (昭63.3.14 基発150号・婦発47号)
会議への参加を命じられる等出席が強制されている場合は労働時間とみなされるため、法定
労働時間を超えて会議が行われた場合は,時間外労働に係る割増賃金を支払わなければな
らない。
C ○ (昭47.9.18 基発602号)
安全委員会の会議の開催に要する時間は、労働時間と解されるため法定労働時間外に行わ
れた会議に参加した場合は,時間外労働に係る割増賃金を支払わなければならない。
D × (平11.3.31 基発168号)
来客に備える待機時間は、労働者の自由利用が保障されていないため、実際に来客がなかっ
た場合でも休憩時間とはみなされず労働時間となる。したがって、本肢の場合には、法定労働
時間を超えていることになり、時間外労働に係る割増賃金を支払わなければならない。
E ○ (昭47.9.18 基発602号)
一般健康診断の受診に要した賃金の支払いについて、当該一般健康診断は、業務遂行の関
連において行われるものではないので、その受診のために要した時間については、当然には
使用者の負担すべきものではなく労使協議して定めるべきものであるとされている。
「しゃろび厳選通達集」にて的中!
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