労務管理その他の労働に関する一般常識



 労一選択は、戦後の我が国の人事制度からの出題でした。
 労務管理用語を知っていさえすれば、少なくとも3点は確保できることから救済の入る見込みは
 薄いと思われます。
 


 今年も例年通り、労一については、白書系の問題が5問中3問出題されました。
 法律系は、労働契約法、労働組合法と昨今多く発生している労使問題、労働争議の影響を受け
 た問題でした。
 本試験対策としては、早い頃からの白書系の学習に加えて選択・択一ともトレンドの把握が欠か
 せなくなってきている、といえます。
 Eは、「ここが出る!平成23年度本試験直前対策」 ズバリ的中!でした。 
 


 【問3】 賃金や雇用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
      なお、本問は「平成22年版労働経済白書(厚生労働省)」を参照しており、当該白書又は
      当該白書が引用している調査による用語及び統計等を利用している。
 
 A 大企業においては、長期勤続によって形成される職業能力を評価する傾向が、中小企業よ
   りも強く、そのため、賃金構造においても勤続評価の部分が大きい。また、こうした勤続評価
   と企業内での人材育成が結びつき、長期勤続者の割合も中小企業より高くなっている。

 B 長期雇用慣行や年功賃金は日本企業の競争力を低下させる要因であると批判されたため、
   両者に対する人々の考え方は、2001年以降、良くないものだとする傾向が強くなっている。

 C 一人当たり雇用者報酬(平均賃金)の変化率は、2000年代になってマイナスになっているが、
   その最も大きな要因は、外国人投資家の増加によって株主への配当を増やす圧力が高まり、
   ボーナスが低く抑えられた結果として、正社員の受け取る給与総額が減少したためである。

 
D 賃金カーブの企業規模間格差は、1990年以降、拡大する傾向にある。それは、大企業が経
   営合理化によって生産性を向上させ、支払能力が高まったのに対して、中小企業では大企業
   ほど生産性が上がらなかったためである。
 E 付加価値に占める人件費の割合である労働分配率を1985年以降についてみると、資本金
   10億円以上の企業は50%程度、資本金1億円未満の企業は70%程度で、景気変動とは
   かかわりなく推移している。



 【解答】

 A
 どれももっともらしい問題にみえますが、労働経済白書を読みこんでいた方は、容易に解答でき
 た問題でした。
 労一択一については、冒頭述べたとおり、白書系の問題が多いため、早めの白書対策が必要に
 なってきていますが、法律系で落としてしまうとフォローが効かなくなりますので、その点注意して
 「法律系を落とさない」対策が必須といえます。