労動基準法



 労基法は、労働時間等の適用除外(法41条)、年次有給休暇、解雇からの出題。
 労働時間等の適用除外については条文の穴埋めなのでそれほど難しくなかった(?)ようですで
 すが、年次有給休暇及び解雇については、最高裁判例からの出題ということもあり、見たことも
 ない受験生も多かったはず。前後の文脈からBでは選択肢から「解除条件」と「停止条件」で悩む
 ところ。Cでは労基法12条第1項を知っていれば選択肢から「平均賃金の6割」は比較的入りや
 すかったと思います。
   


 昨年同様、難易度は低かったのではないでしょうか。内容的にはテキストレベルの出題が多い一
 方で、近年の傾向として最高裁判例からの出題もいくつか見られました。ただし、過去に出題の
 なかった判例を正解の肢として選択する設問はなかったので、、比較的解答しやすかったと思わ
 れます。労基法については、最低でも4問は正解して欲しいところ。
 


 【問1】 労働基準法総則等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 A 労働基準法第3条は、法の下の平等を定めた日本国憲法第14条と同じ事由で、人種、信条、
   性別、社会的身分又は門地を理由とした労働条件の差別的取扱を禁止している。

 B 何人も、他の法律の定め如何にかかわらず、業として他人の就業に介入して利益を得てはな
   らない。

 C 公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者を懲戒解雇
   に付する旨の就業規則条項は、公民権行使の保障を定めた労働基準法第7条の趣旨に反し、
   無効のものと解すべきであるとするのが最高裁判所の判例である。

 D 労働基準法に定める「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者
   で、賃金を支払われる者をいい、この定義に該当する場合には、いかなる形態の家事使用人
   にも労働基準法が適用される。

 E 労働基準法に定める賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の
   対償として使用者又は顧客が労働者に支払うすべてのものをいう。


 【解答・解説】

 A × (法3条)
   人種、性別、門地を理由とした差別的取扱については禁止していない。

 B × (法6条)
   「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはなら
   ない。」が正しい。

 C ○ (最高裁判決 十和田観光事件 昭38.6.21)
   公職に就任することが会社業務の逐行を著しく阻害するおそれのある場合においても、公職
   に就任した者を懲戒解雇に附する旨の就業規則の条項を適用して従業員を懲戒解雇に附す
   ることは許されないとするのが最高裁の判例である。
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 D × (法9条、法116条第2項、S63.3.14 基発150号)
   個人家庭における家事を事業として請け負う者に雇われて、その指揮命令の下に当該家事を
   行う者は「家事使用人」に該当しない。
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 E × (法11条)
   「顧客」が支払うものは賃金とはならない。
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