労動基準法



 労基法は、派遣労働者への派遣元・派遣先事業者の労基法の適用、労働時間等の適用除外
 (法41条)からの出題。
 Aに関しては、派遣事業者の責任として、前後の文脈から容易に選択できるのではないでしょう
 か。労働時間等の適用除外については、通達からの出題ですが、有名な通達ですので、選択肢
 の中から「経営者と一体的な立場にある者」、「その地位にふさわしい」を選択することはそれほど
 難しくなかった(?)と思われます。
   


 昨年同様、通達、判例を含め特殊な問題はなかったように思われます。ただし、出題形式が少し
 変わったところもあり、戸惑われた方も多かったのではないでしょうか。内容的にはテキストレベ
 ルの出題が多かったようですが、解雇からの出題でも見られるように、具体的な数字を挙げて考
 えさせる問題もあり、丸暗記に頼っていた受験生は解答に時間がかかったと思います。
 いずれにしても、難易度は今年も低いので、最低でも4問は正解して欲しいところ。
 


 【問3】 労働基準法に定める解雇等に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合
      せは、後記AからEまでのうちどれか。

 ア 使用者が、ある労働者を整理解雇しようと考え、労働基準法第20条の規定に従って、6月1
    日に、30日前の予告を行った。その後、大口の継続的な仕事が取れ人員削減の必要がなく
    なったため、同月20日に、当該労働者に対して、「解雇を取り消すので、わが社に引き続き
    いてほしい。」と申し出たが、当該労働者は同意せず、それに応じなかった。この場合、使用
    者が解雇を取り消しているので、当該予告期間を経過した日に、当該労働者は、解雇された
    のではなく、任意退職したことになる。

 イ 労働者によるある行為が労働基準法第20条第1項ただし書の「労働者の責に帰すべき事由」
    に該当する場合において、使用者が即時解雇の意思表示をし、当日同条第3項の規定に基
    づいて所轄労働基準監督署長に解雇予告除外認定の申請をして翌日その認定を受けたとき
    は、その即時解雇の効力は、当該認定のあった日に発生すると解されている。

 ウ 使用者は、ある労働者を8月31日の終了をもって解雇するため、同月15日に解雇の予告を
    する場合には、平均賃金の14日分以上の解雇予告手当を支払わなければならない。

 エ 使用者が労働者を解雇しようとする日の30日前に解雇の予告をしたところ、当該労働者が、
    予告の日から5日目に業務上の負傷をし療養のため2日間休業した。当該業務上の負傷に
    よる休業期間は当該解雇の予告期間の中に納まっているので、当該負傷については労働基
    準法第19条の適用はなく、当該解雇の効力は、当初の予告どおりの日に発生する。

 オ 労働基準法第89条では、就業規則のいわゆる絶対的必要記載事項として「退職に関する事
    項(解雇の事由を含む。)」が規定されているが、ここでいう「退職に関する事項」とは、任意退
    職、解雇、定年制、契約期間の満了による退職等労働者がその身分を失うすべての場合に
    関する事項をいう。
 
 
 【解答・解説】

 
ア × (昭25.9.21 基収2824号、昭33.2.13 基発90号)
   解雇予告の取消に対して、労働者の同意がない場合は、自己退職の問題は生じない。

 イ × (昭63.3.14 基発150号)
   即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得た場合はその解雇の効力は使用者
   が即時解雇の意思表示をした日に発生すると解される。

 ウ ○ (法20条)
   8月31日付で解雇する場合は、原則30日前である8月1日に予告しなければならないが、同
   月15日に予告をした場合は、平均賃金の予告期間を短縮した日数(設問では14日)分以上
   を支払わなければならない。
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 エ × (法19条、昭26.6.25 基収2609号)
   2日間休業した場合であっても、法19条の解雇制限が適用されるため、療養のために休業す
   る期間及びその後30日間は、解雇してはならない。なお、休業したことによって、前の解雇予
   告の効力の発生自体が中止されるだけであるから、その休業期間が長期にわたり解雇予告
   として効力を失うものと認められる場合を除き、治癒した日に改めて解雇予告する必要はない。
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 オ ○ (法89条)
   就業規則の絶対的必要記載事項である「退職に関する事項」とは、合意退職、辞職、解雇、
   定年、死亡等労働者がその身分を失う、つまり労働契約が終了する場合に関するすべての
   事項をいう。