労務管理その他の労働に関する一般常識



労一選択は、労働施策総合推進法、雇用保険施行規則、令和2年版厚生労働白書及び助成金からの出題でした。
最近の本試験は労働経済白書からというよりも、各種調査から出題される傾向が強まってきており、本試験対策も難しくなってきています。



昨年出題されなかった労働契約法でしたが、今回再出題されました。労働契約法は一昨年まで9年連続で出題されています。調査・白書系の問題は、昨年同様に5問中2問出題されました。
但し、選択式で調査系が出題されていることからも本試験対策としては、早い頃からの調査・白書系の学習に加えて選択・択一ともトレンドの把握が欠かせなくなってきている、といえます。



【問4】

労働関係法規に関する次のアからオの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記AからEまでのうちどれか。


障害者の雇用の促進等に関する法律第36条の2から第36条の4までの規定に基づき事業主が講ずべき措置(以下「合理的配慮」という。)に関して、合理的配慮の提供は事業主の義務であるが、採用後の合理的配慮について、事業主が必要な注意を払ってもその雇用する労働者が障害者であることを知り得なかった場合には、合理的配慮の提供義務違反を問われない。


定年(65歳以上70歳未満のものに限る。)の定めをしている事業主又は継続雇用制度(その雇用する高年齢者が希望するときは、当該高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。ただし、高年齢者を70歳以上まで引き続いて雇用する制度を除く。)を導入している事業主は、その雇用する高年齢者(高年齢者雇用安定法第9条第2項の契約に基づき、当該事業主と当該契約を締結した特殊関係事業主に現に雇用されている者を含み、厚生労働省令で定める者を除く。)について、「当該定年の引上げ」「65歳以上継続雇用制度の導入」「当該定年の定めの廃止」の措置を講ずることにより、65歳から70歳までの安定した雇用を確保しなければならない。

労働施策総合推進法第30条の2第1項の「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」とする規定が、令和2年6月1日に施行されたが、同項の事業主のうち、同法の附則で定める中小事業主については、令和4年3月31日まで当該義務規定の適用が猶予されており、その間、当該中小事業主には、当該措置の努力義務が課せられている。

A社において、定期的に職務の内容及び勤務地の変更がある通常の労働者の総合職であるXは、管理職となるためのキャリアコースの一環として、新卒採用後の数年間、店舗等において、職務の内容及び配置に変更のない短時間労働者であるYの助言を受けながら、Yと同様の定型的な業務に従事している場合に、A社がXに対し、キャリアコースの一環として従事させている定型的な業務における能力又は経験に応じることなく、Yに比べ基本給を高く支給していることは、パートタイム・有期雇用労働法に照らして許されない。

女性労働者につき労働基準法第65条第3項に基づく妊娠中の軽易な業務への転換を契機として降格させる事業主の措置は、原則として男女雇用機会均等法第9条第3項の禁止する取扱いに当たるが、当該労働者につき自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき、又は事業主において当該労働者につき降格の措置を執ることなく軽易な業務への転換をさせることに円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障がある場合であって、上記措置につき男女雇用機会均等法第9条第3項の趣旨及び目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情が存在するときは、同項の禁止する取扱いに当たらないとするのが、最高裁判所の判例である。

 

  A(アとエ)   B (アとオ)   C (イとエ)

  D(イとオ)   E (ウとエ)

 

【解答・解説】

正答 : C (イとエ)

 

イの肢は、改正高年齢者雇用安定法の基本的事項の理解で判断できます。また、ウの肢は、労働施策総合推進法、いわゆるパワハラ防止法の改正点の基本的事項です。その他、エの肢については、労働契約法第20条から移管されたパートタイム・有期雇用労働法第8条及び第9条をグリップしていれば容易に判断できる問題でした。

ウ・エは、「ここが出る!令和3年度本試験直前対策」 ズバリ的中!



← 戻る