今回の改正は、育児や介護を行う労働者の仕事と家庭との両立をより一層推進するためになされたものです。我が国では少子高齢化が進み、坂口前厚生労働大臣が、合計特殊出生率ワースト1のイタリアを始め欧州各国を歴訪し、その対策について相当の議論がされてきました。
少子化は1980年頃から悪化していくであろうと推測され、当時から問題となっていましたが、最近のようにマスコミで継続的に報道されることもなく、世間一般ではあまり気にもとめなかったのではないかと思います。
今後、少子化の進行と団塊の世代の引退に伴なって、労働力人口の減少が継続して起こり、我が国の国際競争力は低下していくと推測されます。
先進諸国の中で唯一米国だけが合計特殊出生率が基準値を上回っていますが、少子化という問題は世界の先進諸国の悩みのタネになっています。
余談ですが、米国でも1970年代頃までは女性は主に家庭を守るものとして社会には出ていませんでした。その後、ウーマンリブ等の台頭により、段々と女性が社会に進出し、現在の状況を形成していったのです。
フランスなどは出生率向上のために育児施設の充実などさまざまな施策を打ち出し、徐々に出生率が上昇に転じています。また、出生率が回復したからといって労働力人口にすぐさま反映するものではなく、その間のつなぎとして子育てが落ち着いた女性の復職や専業主婦から働く女性への転換の制度を整備しています。
さらに定年退職者の復職などの制度も同時に実施し、国内経済の持続的発展を遂げています。
今回の法改正もこのような先進諸国の取り組みを反映したものとなっていますが、これが十分なものであるかは国会でも論議されており、さらなる制度整備が拡充されていくでしょう。
さて、育児休業制度の法5〜9条は、
労働者は、申し出ることにより、子が1歳に達するまでの間、育児休業をすることができ(一定の範囲の期間雇用者も対象となる)、一定の場合、子が1歳6か月に達するまでの間、育児休業をすることができると改正されました。
この改正ポイントは、休業の取得によって雇用の継続が見込まれる一定の範囲の期間雇用者も育児休業がとれるようになったことです。具体的には、【申出時点】において次の1)、2)のいずれにも該当する労働者とされています。
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