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2024年1月5日発行 No.2(通算498号)
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▼【お知らせ】
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▼【ホームページ更新情報】
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1月 3日 「見落としてはいけない 重要判例!」更新しました。
12月15日 「第1回 しゃろびMail」発行しました。
12月15日 「会員専用非常識」更新しました。
12月15日 「一般非常識」更新しました。
12月14日 「2024年度 しゃろび会員」 募集開始しました。
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▼【しゃろび見落としてはいけない重要判例】
こんにちは。しゃろび見落としてはいけない重要判例担当のたかくんです。
年も改まり、気分一新でテキスト、問題集に取り組んでおられることと思います。
今回は、転勤発令に関する判例です。
これまでは選択式で出題されています。
■東洋ペイント事件(最高裁S61.7.14 第2小法廷判決)
原審が認定したところによれば、被上告人に対する本件懲戒解雇に関する事実関係の
概要は、次のとおりである。
1 上告会社は、大阪に本店及び事務所を、東京に支店を、大阪外2か所に工場を、
全国13か所に営業所を置き、従業員約800名を擁して、塗料及び化成品の製造・
販売を行っている。上告会社とその従業員組合との間の労働協約29条は「会社は、
業務の都合により組合員に転勤、配置転換を命ずることができる。」と定め、
また、上告会社の就業規則13条は「業務上の都合により社員に異動を命ずることが
ある。この場合には正当な理由なしに拒むことは出来ない。」と定めている。
上告会社では、従業員、特に営業担当者の出向、転勤等が頻繁に行われており、
大阪、東京から地方の営業所に転勤し、2、3年後にまた大阪、東京に戻るという
ような人事異動もしばしば行われている。
2 被上告人は、昭和40年3月D大学経済学部を卒業し、同年4月上告会社
に入社すると同時に大阪事務所の第一営業部に配属されたが、被上告人と上告会社
との間で労働契約成立時に被上告人の勤務地を大阪に限定する旨の合意はなされ
なかった。被上告人は、大学卒業の資格で上告会社に入社し、入社当初から営業を
担当していた者で、業務上の必要に基づき将来転勤のあることが当然に予定されていた。
そして、被上告人は、昭和44年4月に株式会社E商店大阪営業所へ出向となり、
昭和46年7月出向を解かれて上告会社の神戸営業所勤務となり、昭和48年
4月主任待遇となったが、その間、塗料の販売活動に従事していた。
3 上告会社では、広島営業所のF主任を中国地方及び四国の瀬戸内沿岸地方
における家庭塗料販売の専従員とすることとしたことから、その後任として、
広島営業所の塗料販売力を増強することができ、かつ、所長の補佐もできる係長、
主任、主任代理クラスの者を広島営業所へ転勤させることが必要となり、
昭和48年9月28日、当時神戸営業所に勤務していた主任待遇の被上告人に対し
広島営業所への転勤を内示した。
しかし、被上告人は、家庭事情を理由に転居を伴う転勤には応じられないとして、
右転勤を拒否した。上告会社は、被上告人があくまで右転勤を拒否する場合には、
広島営業所のF主任の後任には名古屋営業所のG主任を充て、G主任の後任として
被上告人を名古屋営業所へ転勤させることとし、同年10月1日、被上告人に対し
広島営業所へ転勤するよう再度説得したが、被上告人がこれに応じなかったため、
その場で名古屋営業所への転勤を内示したところ、被上告人は、家庭事情を理由に、
これも拒否した。上告会社は、同月8日に50名の定期異動を発令したが、被上告人
に対する転勤発令は延ばして名古屋営業所への転勤の説得を重ねた。
しかしながら、被上告人がこれに応じなかったため、上告会社は、被上告人の
同意が得られないまま、同月30日、被上告人に対し、名古屋営業所勤務を命ずる旨
の本件転勤命令を発令したところ、被上告人は、これに応じず、名古屋営業所へ
赴任しなかった。
そこで、上告会社は、やむなく、同年12月18日、被上告人に代えて大阪営業所
勤務で昭和45年入社のHを名古屋営業所G主任の後任として転勤させた。
そして、上告会社は、被上告人が本件転勤命令を拒否したことは就業規則68条6号
所定の懲戒事由たる「職務上の指示命令に不当に反抗し又は職場の秩序を紊したり、
若しくは紊そうとしたとき」に該当するとして、昭和49年1月22日、被上告人
に対し本件懲戒解雇を行った。
4 上告会社においては、名古屋営業所のG主任の後任者として適当な者を名古屋営
業所へ転勤させる必要があったが、是非とも被上告人でなければならないという事情はなく、
名古屋営業所において被上告人の代わりにHを転勤させたための支障は生じなかった。
5 被上告人は、本件転勤命令が発令された当時、母親(71歳)、妻(28歳)
及び長女(2歳)と共に堺市内の母親名義の家屋に居住し、母親を扶養していた。
母親は、元気で、食事の用意や買物もできたが、生まれてから大阪を離れたことがなく、
長年続けて来た俳句を趣味とし、老人仲間で月2、3回句会を開いていた。
妻は、昭和48年8月30日にI紡績株式会社を退職し、同年9月1日から無認可の
保育所に保母として勤め始めるとともに、右保育所の運営委員となった。右保育所は、
当時、保母3名、パートタイマー2名の陣容で発足したばかりで、全員が正式な保母
の資格は有しておらず、妻も保母資格取得のための勉強をしていた。
原審は、右の事実関係に基づき、次のとおり判断した。
本件転勤命令が上告会社の業務上の必要性に基づくものであることは肯認されるべき
であるが、右の必要性はそれほど強いものではなく、他の従業員を名古屋営業所へ
転勤させることも可能であったのに対し、被上告人が名古屋営業所へ転勤した場合には、
母親、妻及び長女との別居を余儀なくされ、相当の犠牲を強いられることになること、
また、被上告人は、昭和40年4月に上告会社に入社して以来、株式会社E商店に
出向したほか、神戸営業所へ転勤し、神戸営業所勤務となってから本件転勤命令が
出されるまでに2年4か月しか経過していないこと等に照らすと、 被上告人には
名古屋営業所への転勤を拒否する正当な理由があったものと認めるのが相当である。
したがって、被上告人が拒否しているにもかかわらず、あえて発せられた本件転勤命令は、
権利の濫用に当たり、無効であり、被上告人が本件転勤命令に従わなかったことを
理由になされた本件懲戒解雇も、無効である。
思うに、上告会社の労働協約及び就業規則には、上告会社は業務上の都合により従業員
に転勤を命ずることができる旨の定めがあり、現に上告会社では、全国に10数か所の
営業所等を置き、その間において従業員、特に営業担当者の転勤を頻繁に行っており、
被上告人は大学卒業資格の営業担当者として上告会社に入社したもので、両者の間で
労働契約が成立した際にも勤務地を大阪に限定する旨の合意はなされなかったという
前記事情の下においては、上告会社は個別的同意なしに被上告人の勤務場所を決定し、
これに転勤を命じて労務の提供を求める権限を有するものというべきである。
そして、使用者は業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定する
ことができるものというべきであるが、転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に、
労働者の生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権
は無制約に行使することができるものではなく、これを濫用することの許されない
ことはいうまでもないところ、当該転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合
又は業務上の必要性が存する場合であっても、当該転勤命令が他の不当な動機・目的
をもってなされたものであるとき若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく
超える不利益を負わせるものであるとき等、特段の事情の存する場合でない限りは、
当該転勤命令は権利の濫用になるものではないというべきである。
右の業務上の必要性についても、当該転勤先への異動が余人をもっては容易に
替え難いといった高度の必要性に限定することは相当でなく、労働力の適正配置、
業務の能率増進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化など企業の
合理的運営に寄与する点が認められる限りは、業務上の必要性の存在を肯定すべきである。
本件についてこれをみるに、名古屋営業所のG主任の後任者として適当な者を名古屋
営業所へ転勤させる必要があったのであるから、主任待遇で営業に従事していた
被上告人を選び名古屋営業所勤務を命じた本件転勤命令には業務上の必要性が優に
存したものということができる。
そして、前記の被上告人の家族状況に照らすと、名古屋営業所への転勤が被上告人
に与える家庭生活上の不利益は、転勤に伴い通常甘受すべき程度のものというべきである。
したがって、原審の認定した前記事実関係の下においては、本件転勤命令は権利の濫用
に当たらないと解するのが相当である。
■過去の出題例
<令和4年 選択式>
最高裁判所は、全国的規模の会社の神戸営業所勤務の大学卒営業担当従業員に対する
名古屋営業所への転勤命令が権利の濫用に当たるということができるか否かが問題と
なった事件において、次のように判示した。
「使用者は業務上の必要に応じ、その裁量により労働者の勤務場所を決定することが
できるものというべきであるが、転勤、特に転居を伴う転勤は、一般に、労働者の
生活関係に少なからぬ影響を与えずにはおかないから、使用者の転勤命令権は無制約
に行使することができるものではなく、これを濫用することの許されないことは
いうまでもないところ、当該転勤命令につき業務上の必要性が存しない場合又は
業務上の必要性が存する場合であっても、当該転勤命令が【 B 】なされたもの
であるとき若しくは労働者に対し通常【 C 】とき等、特段の事情の存する場合
でない限りは、当該転勤命令は権利の濫用になるものではないというべきである。
右の業務上の必要性についても、当該転勤先への異動が余人をもっては容易に
替え難いといった高度の必要性に限定することは相当でなく、労働力の適正配置、
業務の能率増進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化など
企業の合理的運営に寄与する点が認められる限りは、業務上の必要性の存在を
肯定すべきである。」
<解答>
B 他の不当な動機・目的をもって
C 甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものである
HPでは、他の判例も確認していきます。
↓↓↓↓↓↓↓
http://syarobe.com/hanrei/hanrei-index.htm
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▼【コラム】
こんにちは。しゃろび横断整理担当のわ〜さんです。
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
さて、新年を迎え、本試験までおよそ7.5か月となりました。
社会保険労務士試験オフィシャルサイトでは、試験詳細について、
令和6年4月中旬に公示予定とアナウンスされました。
http://www.sharosi-siken.or.jp/
そう考えると、もう間もなくですね。
予備校に行かれている方は、そろそろ答練(= 答案練習)に
取り掛かる時期かと思います。
独学の方は、周りのペースが分からないと思いますが、
基本学習(インプット)と並行して、早めに問題集(アウトプット)
に取りかかるようにしてください。
また、毎日がむしゃらに勉強するのもいいのですが、
今までの勉強方法を見直してみたり、本試験までのプランを
練り直してみたりするのもいいと思います。
しっかり体調管理と学習管理に取り組んでくださいね。
最後になりましたが、1月1日に発生した能登半島地震により、
被害に遭われた皆様、心よりお見舞い申し上げます。
─────────────(ノ ̄▽ ̄)ノ 以上、コラムでした。
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