■ 遺族厚生年金
これまで見てきた老齢厚生年金や障害厚生年金は、支給要件を満たすと被保険者や被保険者
だった人、本人が年金を受け取っていましたが、遺族厚生年金は、本人は死んでいるので残され
た遺族が年金を受けることになります。
そのため年金を遺族に残すために被保険者や被保険者だった人と、それを受け取ることができ
る遺族の両方に要件があります。
障害と同じように、国民年金の遺族基礎年金との違いを意識して学習すると効率的です。
■ 遺族厚生年金を残すことができる人(死亡した人)
@ 厚生年金の被保険者
A 被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により、その初診
日から起算して5年を経過する日前に死亡した者
B 障害等級1級又は2級の障害状態にある障害厚生年金の受給権者
C 老齢厚生年金の受給権者又は保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間の合計
が25年以上ある者
※ @、A、Bの場合を短期要件、Cの場合を長期要件といいます。
老齢厚生年金の受給資格を満たしているかどうかの違いです。
■ 遺族厚生年金を受け取ることができる人
上で見た遺族厚生年金を残すことができる人の死亡当時、その死亡した人によって生計を維持
していた
@ 配偶者・子 A 父母 B孫 C祖父母 です。(@ABCは受給の優先順位)
遺族基礎年金よりも受け取ることができる人の範囲が広くなっています。
■ 遺族厚生年金の額
端的に言うと、老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
短期要件と長期要件で計算式が異なります。
(1) 総報酬制導入前(平成15年3月31日以前)
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短期要件 |
平成15年3月31日以前の被保険者期間の平均標準報酬月額
×
7.125/1,000(※1) × 平成15年3月31日以前の被保険者期間の
月数(※2) × 3/4 |
長期要件 |
平成15年3月31日以前の被保険者期間の平均標準報酬月額
×
7.125/1,000(※3) × 平成15年3月31日以前の被保険者期間の
月数(※5) × 3/4 |
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(2) 総報酬制導入後(平成15年4月1日以後)
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短期要件 |
平成15年4月1日以後の被保険者期間の平均標準報酬額
×
5.481/1,000(※1) × 平成15年4月1日以後の被保険者期間の
月数(※2) × 3/4 |
長期要件 |
平成15年4月1日以後の被保険者期間の平均標準報酬額
×
5.481/1,000(※4) × 平成15年4月1日以後の被保険者期間の
月数(※5) × 3/4 |
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※ 被保険者期間が総報酬制導入前後にある場合は、(1)+(2)の額となります。
※1:短期要件の給付乗率(7.125や5.481)は定率で、生年月日による読み替えはありません。
※2:短期要件の被保険者期間の月数が300(25年)に満たないときは、300(25年)とします。
( 被保険者期間が総報酬制導入前後にある場合は、(1)+(2)の額に300を被保険者期間の
月数で除して得た額を乗じた額とします。)
※3:昭和21年4月1日以前生まれの者については、生年月日に応じ、9.5/1,000〜7.23/1,000に
読み替えます。
※4:昭和21年4月1日以前生まれの者については、生年月日に応じ、7.308/1,000〜5.562/1,000
に読み替えます。
※5:実際の被保険者期間を用います。
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