国民年金の位置づけ

 公的年金制度は、国民年金(自営業者、学生、無職の人が加入)、厚生年金保険(民間企業の
 サラリーマン、OL、公務員、私立学校の教職員等が加入)からなっています。

 国民年金は他の公的年金制度の土台として位置づけられる年金制度で(国民年金のことを基礎
 年金制度といった言い方をする場合があります)、厚生年金保険は、国民年金(基礎年金)上乗
 せ給付をする制度となっています。

 公的年金制度の給付は、老齢給付(年をとったらもらえる)、障害給付(病気や事故で障害が残
 ったらもらえる)、遺族給付(死んだら残された遺族がもらえる)が中心ですが、ほかにも制度ご
 との独自の給付(国民年金の付加年金、寡婦年金、死亡一時金、厚生年金の障害手当金など)
 があります。


 国民年金は、昭和34年に被用者年金制度の加入対象者以外の自営業者等が加入できる年金
 制度としてスタートしました。
 既に、民間企業や公務員等のサラリーマン等の加入する被用者年金制度は整備されていまし
 たが、それまで自営業者等が加入できる年金制度はありませんでした。

 国民年金は、まず昭和34年11月に保険料の拠出を伴わない「福祉年金(無拠出制年金)」の
 給付を開始し、昭和36年4月に制度本来の姿である保険料の拠出を伴う年金(拠出制年金)が
 始まっています。

 昭和36年4月からは、すべての国民がいずれかの年金制度に加入できる体制が整ったことから
 国民皆年金体制が確立した所以となっています(しかし、いわゆる専業主婦や学生は任意加入
 だったため「皆年金体制」といいながら制度からもれた人がいた)。

 その後の昭和61年4月、年金制度の大改革が行われ、国民年金をすべての年金制度の土台
 とする年金制度と位置づけ、同時に、基礎年金制度が導入され現在に至っています。


 条文
国民年金制度の目的 (第1条)
 

 国民年金制度は、日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基き、老齢、障害又は
 死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、
 もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。


 ( 参考 )
 日本国憲法第25条第2項
 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努め
 なければならない。
 
国民年金の給付 (第2条)
 

 国民年金は、前条の目的を達成するため、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な
 給付を行うものとする。


 ( 参考 )
 国民年金は「必要な給付」となっているのに対し、厚生年金は「必要な保険給付」である。法律
 名も「国民年金法」に対し、「厚生年金保険法」である。
 国民年金には、保険料の支払いを伴わないのに給付を受けること(第3号被保険者)があるので、
 「保険」の文言が入っていない。これは、あらかじめ保険料を支払っておいて、保険事故(年金で
 は、老齢、障害、死亡)が起きたときに保険給付が行われるというのが保険原理だからである。
 
管掌 (第3条)
 

 
1 国民年金事業は、政府が、管掌する。
 2 国民年金事業の事務の一部は、政令の定めるところにより、法律によって組織され
   た共済組合(以下単に「共済組合」という。)、国家公務員共済組合連合会、全国市
   町村職員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会又は私立学校教職員共済
   法の規定により私立学校教職員共済制度を管掌することとされた日本私立学校振
   興・共済事業団(以下「共済組合等」という。)に行わせることができる。
 3 国民年金事業の事務の一部は、政令の定めるところにより、市町村長(特別区の区
   長を含む。以下同じ。)が行うこととすることができる。

 

 過去問
平成19年 択一 問1A
 国民年金は、昭和34年に制定された国民年金法に基づき、同年10月から無拠出制の福祉年
 金の給付が開始され、昭和36年4月から拠出制の年金制度が開始されて、国民皆年金の体制
 が確立した。
 
 (答え) ×
 無拠出制の福祉年金の給付が開始されたのは、昭和34年10月ではなく、昭和34年11月で
 ある。
 
平成19年 択一 問5A
 国民年金事業の事務の一部は、政令の定めるところにより、法律によって組織された共済組合、
 国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団に
 のみ行わせることができる。
 
 (答え) × 
 設問に示されているほか、全国市町村職員共済組合連合会にも行わせることができる。なお、
 市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)は、政令の定めるところにより、国民年金事業の
 事務の一部を行うこととすることができる。「行わせることができる。」ではない。