厚生年金保険における被保険者の種別(60年改正法附則5)

 昭和61年の制度改正により、一応、被保険者の種別は廃止されましたが、性別や船員又は坑
 内作業に従事する者とそうでない者とで給付を受ける要件や保険料率を異にしており、それを
 明確に管理する必要から、経過措置として被保険者の種別が設けられています。

 第1種被保険者 = 男子(坑内員、船員及び任意継続被保険者を除く)
 第2種被保険者 = 女子(船員及び任意継続被保険者を除く)
 第3種被保険者 = 坑内員及び船員(任意継続被保険者を除く)
 第4種被保険者 = 任意継続被保険者

 ※共済制度の統合により、新たに設けられた厚生年金被保険者の種別(第1号〜第4号厚生年
   金被保険者と混同しないように注意してください。


 条文
被保険者期間の計算 (第19条)
 

 
1 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した
   月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。

 2 被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を一箇月として
   被保険者期間に算入する。
   但し、その月にさらに被保険者の資格を取得したときは、この限りでない。

 3 被保険者の資格を喪失した後、更にその資格を取得した者については、前後の被
   保険者期間を合算する。

 4 前3項の規定は、被保険者の種別ごとに適用する。

 5 同一の月において被保険者の種別に変更があったときは、前項の規定により適用
   するものとされた第2項の規定にかかわらず、その月は変更後の被保険者の種別
   の被保険者であった月(2回以上にわたり被保険者の種別に変更があったときは、
   最後の被保険者の種別の被保険者であった月)とみなす。

 
 ■ 被保険者期間の計算

  厚生年金保険の被保険者期間は月を単位として計算し、原則として被保険者となった日(資
  格取得日)の属する月から被保険者でなくなった日(資格喪失日)の属する月の前月までを
  被保険者期間とします。
  ただし同一月内に被保険者となった日と被保険者でなくなった日があるとき(これを「同月得
  喪」という)は、これを1月として計算し、さらに月に被保険者となった日(資格取得日)がある
  ときは、最後に被保険者となったときをもって1月として計算します。

  <例 1 (原則)>
   4月1日に取得し、12月1日に喪失したとき(退職日は11月30日)
   → 被保険者期間は8か月(4月〜11月)


  <例 2 (同月得喪)>
   4月1日に取得し、4月21日に喪失したとき(退職日は4月20日)
   → 被保険者期間
は1か月(4月)

  <例 3 (同月得喪)>
   4月1日に取得し、4月21日に喪失したが(退職日は4月20日)、4月25日に別の会社に
   勤務して新たに資格取得したとき
   → 被保険者期間は1か月(4月)

  <質 問>
  今年30歳になる甲さん。4月1日にA社に入社(資格取得)し、11月29日に退職(11月30日
  資格喪失)しました。
  次の日、12月1日(資格取得)から再就職先のB社に勤務し、現在に至っています。
  4月〜12月の加入制度如何?

  「○月は国年2号、厚年1号」といった具合に加入する制度と被保険者の種別を考えてください。
  途中の転職のところがポイントですね。

  <答 え>
  4〜10月は厚年1号、11月は国年1号、12月は厚年1号、空白となっている11月30日は、
  たった1日ですが国民年金に加入することになります。

  すらすら答えられた人はOK!
  戸惑った人は、テキストで確認してください。
  一応、この質問の答えとしてはそれでOKなのですが、理解を深めるために、一歩踏み込んで
  検証してみます。


  甲さんは、11月29日に退職しています。喪失は翌日なので11月30日が喪失日。
  被保険者期間は前月までをカウントするから10月までは厚生年金の被保険者期間です。
  次に、B社での資格取得は、12月1日なので、資格取得月12月から厚生年金の被保険者期
  間に入れます。
  さて、問題の11月。ちょうど厚年喪失と厚年取得の間の空白となっている国民年金に加入の
  ところですね。11月29日に会社を辞めて、1日休んで、12月1日から次の会社に出勤して、
  という流れの中で、就職していない11月30日のために国民年金の1号被保険者の手続きを
  取って、保険料の納付義務が生じるわけです。
  たった1日のためになんと面倒なことをと思うかもしれませんが、そういうルールなので仕方あ
  りません。
  もし手続きを怠れば、いわゆる未納ということになってしまいます。未納のまま2年過ぎれば時
  効で保険料は納付できません。ただし、法改正により、平成30年9月までは、後納が認めら
  れるので5年前まで遡って納付することができます。

  月末退職のときは2か月分の保険料を天引きするけれど、退職日を1日前にすれば、1か月
  分でいいから、会社にとっても本人にとっても保険料負担が小さくていいというので、退職日を
  1日前にしてしまうというケースがあるようですが、後々、トラブルの元です。
 
 ■ 被保険者期間の計算の特例(昭和60 年改正法附則47条)

  坑内員及び船員であった期間がある場合の被保険者期間は、次のようになります。
  @ 昭和61年3月31日までは実際の期間に3分4倍した期間
  A 昭和61年4月1日から平成3年3月31日までは実際の期間に5分の6倍した期間

  坑内員や船員の特殊な労働事情(かつては重労働だった)による優遇措置です。
  (その分保険料も高かったのですが)。

  <例>
   坑内員及び船員であった期間が、昭和56年4月〜平成13年3月であるとき
 
   → 被保険者期間は、272月として計算する。(実期間は240月)

     @ 昭和56年4月〜昭和61年3月 60月 × 4/3 = 80月
     A 昭和61年4月〜平成3年3月  60月 × 6/5 = 72月
     B 平成3年4月〜平成13年3月  120月 × 1 = 120月
     @+A+B = 272月
 

 過去問
平成20年 択一 問5D
 昭和61年4月1日に第3種被保険者の資格を取得し、平成2年11月30日に当該資格を喪失した者
 については、66月をもって、この期間の厚生年金保険の被保険者期間とされる。
 
 (答え) ○
 昭和61年4月〜平成2年10月 → 55月× 6/5 = 66月
 坑内員及び船員であった期間は、昭和61年3月31日までは、実際の期間に3分4倍、昭和61年4
 月1日から平成3年3月31日までは、実際の期間に5分の6倍した期間を被保険者期間とする。